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デジタルアーカイブ

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大阪府では、関西を拠点に戦後の美術界で活躍した現代美術作家の作品をはじめ、1990年代に開催した「大阪トリエンナーレ」の受賞作品など、絵画や版画、彫刻、写真等約7,900点の美術作品「大阪府20世紀美術コレクション」を所蔵しています。ここでは、その所蔵作品を、作品名や作家名、キーワードから検索し閲覧いただけます。

作家解説

  • 上前 智祐
  • Chiyu UEMAE

20歳までの青春期には、画家をめざしながらも神戸・横浜・東京で放浪生活を送る。舞鶴に戻り、改めて画家をめざし、「二紀展」に入選。
その後、神戸に移住する。32歳のときに見た吉原治良のクレパス画に強い印象を受け、師事し指導を受ける。具体美術協会の結成時から参加し1972年に解散するまで在籍する一方、「モダン・アート展」にも1954年から1970年まで出品した。細かい点描を時間をかけて集積させた油彩画、マッチ棒やおがくずを塗料で塗り固めたマチエールによる絵画、布と糸を素材に丹念に運針を重ねた「縫い」の作品など、綿密な手作業の積み重ねによって物質と平面の関係を問い、手技の画質にこだわり続ける画家である。
具体のメンバーでは、白髪一雄や元永定正、嶋本昭三や村上三郎などの派手なアクションを使った作品などとは異なり、一貫して緻密な手作業による画面作りにこだわり続けた、タブロー(平面絵画)作家である。したがって、具体のなかでは地味で、比較的目立たない存在であったが、その作品は物質の生の姿を荒々しく見せ、見る者を圧倒させる迫力で迫ってくる。
1999年2月には、旧大阪府立現代美術センターで回顧展が開催。これを機に、上前智祐氏より絵画彫刻作品61点を収集した。その後、2007年に再び同氏より版画作品187点の寄贈を受けた。

主要参考文献

「自画道」共同出版社 1985.1
「孤立の道 1944~1995.3」 共同出版印刷 1995.8  
「集合と稠密のコスモロジー 上前智祐展」 大阪府、大阪府文化振興財団 1999