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デジタルアーカイブ

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大阪府では、関西を拠点に戦後の美術界で活躍した現代美術作家の作品をはじめ、1990年代に開催した「大阪トリエンナーレ」の受賞作品など、絵画や版画、彫刻、写真等約7,900点の美術作品「大阪府20世紀美術コレクション」を所蔵しています。ここでは、その所蔵作品を、作品名や作家名、キーワードから検索し閲覧いただけます。

作家解説

  • 清水 九兵衛
  • Kyubei KIYOMIZU

東京藝術大学鋳金科に学んだ後、一時期、具象彫刻を制作していたが、1966年から金属を素材とした抽象彫刻を制作するようになる。1年あまりのヨーロッパ滞在を経た1970年頃からは、もっぱらアルミニウムによる抽象的な構成作品を発表、1974年から「AFFINITY アフィニティー(親和)」をテーマとしたシリーズ作品をてがける。
清水の作品は、フォルム自体の魅力もさることながら、そのまわりの空間や環境、建築との関わり方に重点が置かれている。その後、数多くの野外彫刻モニュメントや建築と密接に結び付いた彫刻を制作し、多くの野外彫刻展で受賞を重ね、現代日本の彫刻界で重要な地位を確立した。
‘77年からは、日本古来の面やかつらの形態を意識した〈MASK〉や〈WIG〉のシリーズを、1980年代には、人間の胴・腕・足を想起させるような〈TRAVERSE〉や、立方体や正方形の板と扇面体の三種類のユニットの組み合わせによる〈FIGURE〉のシリーズをてがけ、 1990年代には〈CORRESPONDING FORM〉〈京空間〉などのシリーズを制作している。清水の作品は、洗練された簡潔なフォルムによって造形感覚の冴えをきわだたせる一方で、その芒洋としたつや消しの質感にはある種のぬくもりさえ感じさせている。
‘95年、大阪府は国立国際美術館と共催で「清水九兵衛展」を開催し、これを機に清水九兵衛氏より彫刻など27点を収集した。

主要参考文献

「清水九兵衛展」カタログ 三重県立美術館 1992.5
「清水九兵衛展 アフィニティー/親和の神話」 カタログ 大阪府、大阪府文化振興財団 1995
「清水九兵衛 屋内彫刻作品1968-1995」フジテレビギャラリー 1996.10